医療情報

COPD (慢性閉塞性肺疾患)

更新日: 2012年07月01日

「肺の生活習慣病」

高血圧、糖尿病、メタボなど食生活の乱れや運動不足と関連する生活習慣病はどなたでもイメージしやすい病気です。では、喫煙によって肺年齢がどんどん老化していく、「肺の生活習慣病」と呼ぶべき病気が年々増加していることはご存じでしょうか? 日本はもちろんのこと、世界中で患者数が増え続け大きな社会問題となりつつある慢性閉塞性肺疾患(COPD)についてお話しします。

息切れ、咳、痰で悩んでいませんか?

最近少し体を動かすだけで息切れする、いつまでも咳や痰が続く。こんな症状はありませんか? タバコを吸っている方、過去に吸っていた方、家庭や職場でタバコの煙を吸わされている(受動喫煙)方の場合は要注意です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)にかかっている可能性が高いのです。

病気に気づかない方がたくさんいらっしゃいます

COPDとは、タバコの煙などの有害物質を吸い込むことによって、空気の通り道(気管支)や酸素交換を行う肺胞に障害がおこる慢性の病気です。肺気腫、慢性気管支炎などの病名で呼ばれることもあります。徐々に体の中の酸素が足りなくなっていきますから、まず運動ができなくなり、そのうち自宅で歩くだけで息苦しくなり、やがてベッドで安静にしていても苦しくて酸素吸入が必要になってしまいます。
COPD患者のほとんど(90%以上)が喫煙者です。2000年に行われた調査では、40歳以上の日本人の8.6%(12人にひとり)にCOPDの疑いがありました。しかし、COPDという病気があまり知られていないため、診断・治療を受けているのは、まだほんの一握りの方だけです。

どうやって診断するのでしょうか

COPDと診断するにはスパイロメータを用いて呼吸機能検査(肺年齢の検査)を行います。10分程度でできる簡単な検査です。また、他の病気との区別も大切ですから、酸素飽和度のチェック、胸部X線検査、心電図も行います。

治療法は?

どのくらいの重症度なのか(肺年齢が何歳か?)を把握して治療方針を立てます。治療の第一歩は禁煙(あるいは受動喫煙の防止)です。さらに吸入薬や内服薬できちんと治療すれば、症状が改善して毎日の生活が快適になります。

治療せずに放っておくとどうなるのでしょうか

COPDの症状は呼吸器感染症をきっかけに急速に増悪しますので、気付かずに生活していると風邪をきっかけに入院を余儀なくされることもあります。また、タバコが原因と知らずに吸い続けたために肺の機能が低下して、ついには酸素ボンベを24時間手放せない生活になる方が増えています(在宅酸素療法)。生活を楽しむ余裕を失ってしまいます。

  • 適切な診断と治療をしっかり受けて健康を保つことが何よりも大切です。
  • 慢性的な息切れや咳・痰で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談下さい

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