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人混みを避けて運動しよう ~ウォーキングの科学~

更新日: 2020年04月20日

●●● ウォーキングの科学 ●●●

 信州大学医学部特任教授の能勢 博先生が2019年10月に『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』という本を出版しました。運動が健康に良いことは誰でも知っていますが「どんな運動をどれだけ行えばいいのか分からない」、「運動してみたが効果が実感できずやる気がなくなった」という方も多いのではないでしょか。著者は10年間にわたる7000名以上の実績に基づき誰にでもできる、費用のかからない、確実に成果のでる運動法を開発しました。これだけ明確に科学的根拠を示した運動療法の本に出会ったのは初めてです。

●●● 患者さんと試行錯誤を重ねて開発 ●●●

はじめに著者は、1日1万歩歩くと患者さんにどんな効果が出るか調査したのですが、血圧低下などの効果はわずかで、正直期待外れだったそうです。マイペースで歩くだけでは運動強度が不足していたのでした。また、ジムなどでトレーナーの指導を受ける運動は費用負担が大きい。高齢になっても取り組める運動が良い。そんな事を考え10年間試行錯誤を重ねたそうです。そしてたどり着いた答えが「インターバル速歩」でした。

●●● インターバル速歩をやってみよう ●●●

インターバル速歩は「速歩3分とゆっくり歩き3分のセット」を繰り返す運動法です。重要なのは「運動強度」です。「ややきつい」と感じる程度の速歩を1週間に合計60分間以上行いましょう。

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(1) 服装は軽い運動に適したもの、靴は底が柔らかく踵にクッション性のあるもの。

(2) 視線は25m程度前方に向け、背筋を伸ばした姿勢を保って歩く。

(3) 足の踏み出しはできるだけ大股になるように行い、踵から着地する。

(4) 速歩のスピードは個人が「ややきつい」と感じる程度である。5分歩くと息が弾み10分続けると汗ばみ15分で脛に軽い痛みを感じる程度が目安。

(5) 速歩の時間は3分間を基準とする。大部分の人がこれ以上続けるのはしんどいと感じる。そのあと3分間ゆっくり歩きすると回復して再び速歩しようという気分になる。この「速歩3分とゆっくり歩き3分のセット」を1日5セット以上、週4日以上繰り返すのが基本。ただし1日の運動を2~3回に分けて行っても良いし、週4日できなければ週末にまとめて行っても良い。1週間の合計の速歩時間が60分間以上になれば成果が出る。

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 インターバル速歩を、1週間の速歩時間60分以上×5ヵ月間行った7000名以上の参加者のデータから、生活習慣病の患者さんの血圧・血糖値・脂質・体重の改善、気分障害(抑うつ傾向)の改善、睡眠の改善、認知機能の改善、関節痛の改善、骨粗鬆症の改善を実証しました。ウォーキングによってこれらが改善する理由も本書に明示してあります。

仕事に追われて運動から遠ざかっている方や、新型コロナウイルス感染症による外出自粛で生活のペースが乱れた方も、自由な時間を利用して、人混みを避けて行えるインターバル速歩を是非実行して頂きたいと思います。

◆この短文では本書の魅力を伝えきれません。是非ご一読ください。

『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』能勢 博 著

講談社ブルーバックス(ISBN 978-4-06-517667-2) 定価900円(税別)

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