医療情報

視能訓練士

更新日: 2020年01月06日

皆さんは「視能訓練士」という職業をご存知ですか?

視能訓練士は小児の弱視や斜視の視能矯正や視機能の検査を行う国家資格を持つ専門職として、日本では1971年に誕生しました。

第一回の厚生省国家試験が施行されて以来、国家試験合格者数は16,199名(2019年3月現在)と少なく、知名度は低いかもしれません。恥ずかしながら、私自身も眼科医になるまで視能訓練士という職業を知りませんでした。

今回は、視能訓練士の仕事についてお話いたします。

視能訓練士は眼科領域における視機能のスペシャリストとして、乳幼児からご高齢の方まで皆さまの大切な眼の健康を守るお手伝いをしています。

視能訓練士の業務内容は大きく分けて4つあります。

①   視能矯正

幼少期の目の代表的疾患といえば斜視と弱視です。斜視とは片方の眼球が外側に向いたり、内側に向いたりしている症状です。弱視とは正常な視力の成長が止まってしまい、眼鏡をかけてもよく見えない症状です。片方の目だけがあまり見えないケースもあります。視覚の発達する年齢は限られているため、早期に発見し治療を開始することが必要です。子供のころから正しい矯正訓練をすれば機能が回復する可能性があるのです。

お答えを引き出すのが難しい低年齢の小児の視機能検査を行い、また高度な専門器具を使ってどのように見えるかを測定することで、斜視や弱視などの状態を詳しく調べます。医師の指示のもと、視能訓練士が適切な訓練や指導をすることで斜視や弱視の子供の視力を向上させ、視覚障害を残さずに正常な両眼視機能を獲得することを目標とし視能訓練を行います。治療は何年にも及ぶことがあるので、根気強く子供やその家族と向き合い、訓練を繰り返します。

②   視機能検査

人間の眼は、とても複雑で大切な器官であるため、多くの検査があります。医師の指示のもと、視力検査・屈折検査・眼圧・視野検査といった眼科一般検査や、眼鏡処方に関する検査、眼の奥の写真や組織の断層を撮影する画像診断検査など様々な精密な特殊検査も担当します。医師の診断や治療に必要な的確なデータを提供し、眼科医療をサポートしています。

③   健診業務

母子保健センターなどで実施される3歳児健康診査における視覚検査や成人の生活習慣病健診などにも参加し、眼疾患の早期発見にも貢献しています。当院では、健診にて指摘された疾患について精査し、さらに高度な医療が必要である場合には、都立多摩総合医療センター・小児医療センターなどへの紹介を行っています。

④   ロービジョンケア

眼疾患や外傷などにより視機能が低下したロービジョンの見にくさを様々な方法で補い、生活の質の改善を支援します。視機能検査だけでなくロービジョンによる日常生活、学業や仕事の継続などへの影響を聞き取り、一人ひとりに合わせた光学的補助具(拡大鏡、遮光眼鏡など)を選定、見え方を補う様々な工夫、視覚リハビリテーション施設との連携などのアドバイスを行い、少しでもより良い生活をおくってもらうために欠かせない仕事です。

当院では、視能訓練士が常時勤務しています。眼科一般検査のみならず、斜視・弱視訓練、またロービジョンに対するアドバイスなど、お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。

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